北風が強い。
急に寒くなり始めたと思ったら
一気に”それ”っぽくなってきた。
季節を感じるというよりも変化が急激すぎて
心も身体がついていけない。
買い出しに行く。電車は当たり前のように混んでいる。普通の日常に戻った? 日常ってこんな感じだったっけ? あまり覚えていない。
歩く。唐突に高校時代にテストでカンニングしたことを思い出す。ばれて呼び出しを食らった。二度とするな的なことを言われて釈放された。苦い思い出。
その時にもう二度とこんなことはしない。と思った。あの時何でしたのかと考えてみると単純に頭が弱かった、というしかない。
バレたらどうなるか、という罰の話ではなくて、何のために勉強をしているのか、とかテストは何のためにあるのか、とかそういったことが分かっていなかった。それがわかればカンニングの方向に行くのではなくてどこかで手を抜いても大丈夫ということがわかったのではないか、ということ。
もちろんこれはたら・ればの話。そもそも論とは別にこういうこともありえるというのはちゃんと覚えておかなくてはいけない。それだけ追い詰められていたということ。追い詰められて余裕がなくなったら人間はどうなるのか。
その後大学に入ってみると、皆テストのときに当然のようにカンニングをしているので驚いた、というかあきれた。真っ白になった。あまりにも堂々とやっている。
勉強ってなんだっけ?
・・・なあ、なんでこんな記憶ばかりなんだ。記憶が力になるどころか足を引っ張るようなものばかりじゃないか。
いったい今まで何をやってたんだ?
・・・こんなこと2度とやらない。勉強なんて遊びの範囲で十分だ。身体を壊してまでやるものじゃない。
そんな気分になって環八通りを歩いた。こんなこともうたくさんだと思った。これからは面白い思い出になるものをよこせ。あとはいらない。