korenannan’s blog

関東地方某県に住んでいます。日々思ったことを書きます。時々放ったらかしにして期間が空くことがあります

悪夢で可能になるこの世界とのつながり。それによる癒し。「マーサ・イズ ・デッド」をプレイしての感想

 朝は涼しい。

 

 夏の疲れが出てきている。

 

 身体がだるい。

 

 

 

 「マーサ・イズ・デッド」をクリアした。

 

 中身が濃すぎた。短くてちょうどよかった。ゲームのジャンルはホラーというよりもサイコスリラーやサイコサスペンスか。

 

 日本のホラーゲームだったらそこまではしないだろうという一線を完全に越えていた。プレイしていて「これはダメだろ」と思わずつぶやいてしまった。

 

 

 (以下ネタバレを含みます) 

 

 ゲームの内容はイタリアに住むジュリアという女性が、湖で遺体で見つかった双子の姉のマーサの死の真相を追う、というもの。

 

 時代は第二次世界大戦末期。敗戦の色合いがかなり濃くなっている。

 

 物語が進むにつれ、真相が明らかになってくるが、それと同時に違和感も増してくる。

 

 主人公の言動がおかしくなってくる。どうやらこの主人公は幼少期に母親からかなりのレベルの虐待を受けていたらしい。そして彼女だけ一時期乳母の家で育てられている。

 

 主人公は母親がマーサを殺したのではないかと疑い証拠を集め始める。母親は母親で主人公を精神病院に入院させようと画策する。

 

  証拠集めがきつい。皆が皆おかしい。

  • 母親の常軌を逸した虐待
  • 主人公を利用して母の虐待を逃れるマーサ・主人公の彼氏を寝取るマーサ
  • 戦争という理不尽な状況。人殺しが日常になっている。
  • 父親はドイツ軍の将軍でまわりの風当たりがだんだんきつくなってくる。

 

 そんななかで主人公はどんどん壊れていき、ある瞬間から完全に壊れる。プレイヤーもその世界に引きずり込まれる。

 

 マーサを殺したのは主人公だった。主人公は母親を”自白”させようと詰問して結果母も殺してしまう。

 

 プレイヤーはその壊れた主人公の世界をそのまま体験させられる。

 

 完全にふっ切れて"いっちゃって"る。

 

 壊れた主人公の目で見ているので、犯人が本当に主人公なのかも定かではないレベル。

 

 何が妄想で何が本当のことなのかわからない。

 

 最後には主人公は精神病院に入れられる。そして戦争は終わる。そこでゲームは終わる。

 

 母と姉は主人公の狂気に殺されて、父親と乳母は”正常”な軍人に殺される。主人公は一人で取り残される。

 

 クリアしてもハッピーエンディングではない。なんだこれは。

 

 この狂気と理不尽さを追体験させるのがこのゲームメーカーの意図だったのか。

 

 

 主人公は、個人の努力や小賢しい理屈なんて意味のない世界に住んでいる。むしろ努力すればするほど困難な状況になる。

 

 世の中はままならない、というレベルでなく、狂ってしまった人間が努力したら大変なことになる。かえってひどい状況になる。そういう地獄を生きている。

 

 

 そういう人間が世界でなんとか生きるためにはどうすればいいのだろう。

 

 敵を増やさない。味方を減らさない(増やす)。嫌な人間だと思っても攻撃してはいけない。今を笑って生きる。

 

 努力をしない。むしろ楽に生きられるレベルに活動を抑える。幸せを感じられる余裕があるレベルにとどまる。

 

 

 そういうことだろうか。自己実現なんてとんでもない。自己実現をしようとしたために起こったのが主人公の悲劇なのではないか。

 

 だけど、それで生活できるのか。とはいってもそもそも選択肢はあるのか。努力でなんとかなったり選択肢があるというのはかなりの贅沢だ。

 

 だから今を笑って生きる。

 

 

 まったくなんちゅうゲームだよ。でも終わったあとで不思議な癒しがあった。完全にぶっ壊れた世界を比較的無傷で経験できる。トラウマには注意だが。

 

 ゲーム内で一人で悩むな、とあるサイトのアドレスが貼ってあった。最初からそういう人向けにメッセージを出すのが目的だったのかもしれない。

 

 前回のブログにも書いたけれど、ヨーロッパの人は日本人に比べて孤独なのではないか。この世界から隔離されている。

 

 だから神が必要なのかもしれない。あるいはオカルトか。ゲーム内でもタロットや民間伝承、湖にいる霊?がその部分を担っていた。

 

 日本人の私に言わせればそれでは不十分な気がする。やっぱり言葉の世界だけの話だ。

 

 でもそのお陰でヨーロッパ人は理性が発達したのかもしれない。これは全くの私の妄想だけど。

 

 

 そんなことを思った。

 

 

 追記:このゲームをやっている間は夢を見なかった。このゲームは夢の代わりになるのか。